サイトマップ

病院内の廃棄物処理について

・二次感染防止に十分対応できる【紙おむつ処理】の小さなエチケット

・1997年くるりんぱ発売当初の記事です。

㈱日本衛菅指導センター 代表取締役・理学博士 古矢光正

1998-10

難病と在宅ケア 日本プランニングセンター

紙おむつの普及はこの数年間で急激に普及した。

介護をする立場からは、 使用済み紙おむつの取り扱いに困った状況も出ている。 とりわけ、捨てることについてはいくつかの注意をしなければならない。

使用済みおむつの正しい捨て方は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」 により規制されている。

要約すると、まず分別は、基本的に一般廃棄物としての可燃ごみである。 可燃ごみとして処理してもらうためには、汚物をできるだけ取り除きトイレ処理し、 汚れたおむつだけを可燃ごみとして分別しなければならない。 さらに、付着している汚物残渣が運搬中に漏洩、飛散しないように配慮されていることなどの、 いくつかのルールを守らなければならない事が原則である。

二次感染のメカニズムは、感染源(キャリヤー)伝播体(宿主、物)とその動向(物流)、 微生物の繁殖条件(保存環境)により構成される。
ちなみに、「かいわれ大根」の大腸菌O157騒動で、種々の議論があったようだが、
如何にしても大腸菌であれば動物の糞便が原因であることは明白であり、
生産過程で衛生的配慮をしたとしても、 動物の糞便が物流の過程で汚染の可能性を否定できない状況にあることを指摘した。

ところで、「紙おむつ」の処理の流れは、使用後、あらかたの汚物をトイレに流し、 汚れたおむつは、ポリ袋などに包装され、
可燃ごみの日に巷におかれ、 塵芥車の回収を受け、焼却工場に搬入される。

清掃工場では、一旦、大きなゴミピットにあけられ、 そこで、いろんなゴミとよく混ぜて焼却時のカロリー調整や水分調整を行い、
焼却炉投入を待つことになる。 ゴミピット投入以降、外部への漏洩はなくなる。

しかし、回収塵芥車は内部を清掃し、再び巷に出て回収を繰り返すことになる。 回収中に大きな袋で出されたものや、
粗雑に出されたものは、巻き込み(積込)の際に破れ、 ボディーの中で糞便がこぼれていることは珍しくないことであり、配慮してもらいたいと思う。
汚いから文句を言うのではなく、 輸送中に巷にこぼして廻ることの危険を回避したいからお願いしたいと 清掃局は言っている。 公衆衛生上、もっともな言い分である。

二次感染の防止は、汚染源を隔離することと、消毒することで達成できる。
在宅介護において消毒は簡易でないとしても、ポリ袋などに入れて「汚れたおむつ」 から漏洩飛散しない程度の隔離は容易にできる手技である。

在宅介護において、この程度の配慮は専門的知識がなくても簡単にできる無菌的操作であり、 誰でもできる二次感染防止策なのである。

小生の持論であるが、感染物を扱うとき、自分をできる限り清潔に扱うことが、 しいては、患者へ二次感染防止につながると実感している。
少なくともキャリヤー自身の内因性感染の防止は 介護の完成度に左右されることは否定できない事実である。

最後に、「紙おむつ」の分別処理が悪く一般廃棄物扱いを拒まれ、 産業廃棄物(感染性廃棄物)としての処理を余儀なくされている医療機関や老人施設も珍しくない昨今であるが、
これに伴い膨大な経費の計上で経営に重圧を課している。
わずかなエチケットを守らないための代償は実に見逃せない状況になりつつある。 この非常識が一般社会の常識として定着したとき、
在宅使用したものまで同様の扱いを受けたときは、「紙おむつ」の時代は変革せざるをえないであろう。

感染性廃棄物処理を手掛けてきた実感から、「汚物処理用の二重構造のポリ袋」を開発した。
簡単に、漏れない、臭わない、縛らない、でより衛生的な汚物処理ができるように考案したものであります。

問題点

積み込み時に破れた袋

袋が破けた後

運んでいるうちに水分は絞られて
このように溜まることがあります。

くるりんぱを使って改善

一個づつ汚物を取り除き、
残渣物が こぼれないように包装しています。

非感染性シールを貼って炭カル大袋に まとめ、
燃えるゴミで処理して もらいます。