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感染対策のへの配慮

NICU室への医療、報道側の感染対策への配慮

合資会社 日晃 古矢晃敬

2010-1

難病と在宅ケア 日本プランニングセンター

数日前どこぞの厚生労働大臣による新生児室の視察の情景が報道された。そこは、NICUとよばれ、保育器が設置されている無菌的クリーンルームだった。大臣は、マスクをつけていたが私服のまま鼻の上を止めずに、赤ん坊の真上から顔をのぞかして手を出している姿が報じられていた。

ちょっとまった!

NICUは、陽圧管理された部屋で入室時には手術室と同じに手洗いもブラシ洗いで、手先だけでなく腕まで洗うのだ。また、衣服は除菌された防塵衣に着替えなければ入れないはずである。むろん、履物は清潔なものには着替えなければならない。ましてや、報道陣も同行しているが全て入室の手順を踏んでいたのだろうか。もし、何もしないで入っていれば彼らは全て感染源の媒体であり伝播体であることを理解しているのだろうか。その場に注意する人間がいなかったことに驚きを覚える。

これをコンタミネーションというのである。

ちなみに、NICUやOP室の空調は、調温、調湿、除塵、調圧を常時に行っているのだ。そこに入るためには、それなりの手順があることを理解しなければならない。特に除塵は高性能HEPAフィルターを介した清潔な空気が供給されている。医療機関の待合室や通路はことのほか病原体が集約されたスペースであるから、部外者の立ち入り、行動にはきびしく制限をしているのだ。

ひとつ屋根の下でもっとも感染リスクの高い空間と最も清潔な空間を仕分けして運営しているのだ。映像を見る限りまったく配慮されていないのではないか。新型インフルエンザが流行している中、何たる醜態と思うのである。入る人は医学的に見識がないのなら医療機関として入れる側の見識も疑われるのだ。

我々は、日常生活において特殊な機能を持たなくてもコンタミネーションに対抗できる。それはエチケットであり、お行儀であり、習慣を身につけることから始まるのだ。

たとえば、待合室に入る前に靴の汚れを取ったり、手を洗ったり、出るときは又洗うこと、部屋の埃がたたないようにしたりと、いろいろある。家庭では、空気清浄機などをうまく使うのも一つである。家庭内での紙おむつなどをポリ袋などに包んで捨てることや、ゴミ箱の清掃をまめにすることなども大切な日常的な衛生配慮といえるでしょう。

メディアが報じることは好ましいことだが、正しい常識を持って批判することはもっと重要なことである。知らなかった。間違えに気がつかなかったではすまないのである。